MUSIC CREATOR 〜editor's voices〜
'00年8月〜'02年6月



■editor's voices-1■

いままで、いろんなところで編集後記を書いてきた。あるときは「人口増加」の問題をとりあげ、その解決策として人間のスモールサイズ化が極秘裏に研究されているとし、「東武ワールドスクエア」がその証拠だと主張。あるときは、日常生活に見る潜在的ヒーロー願望の覚醒という観点から、ガラス張りのエレベーターからの景色が、まさに、巨大化するヒーローの視線と一致していると説いた。今回は音楽誌だ。で、「音楽的な存在」について考えてみた。その人がいるだけで周囲にメロディが流れ出すような、その人を包むオーラがまるでメロディそのもののような、そんな人を想像してみた……牧伸二さんの顔が浮かんできた。



■editor's voices-2■

ライヴの取材。会場の空気に同化する自分と、それを持ち帰ってテキストなりにアウトプットしなければいけない自分。「オーッ」と盛り上がりつつ「ええと、今のは、沸き立つマグマのような、原初的風景が……」と、手元の小さいノートに小さいペンで殴り書き。麺を茹でるとき、沸騰寸前に“ビックリ水”を入れるような、そんなことの繰り返しか。いっそのこと、たとえば筆記具と紙を握って「ワー」っと振り上げた両手に、勝手に書かせてみる。ある意味「言葉の故郷は肉体だ」という小林秀雄氏の言葉に通じるのでは、と曲解しつつふと「言葉の故郷は肉体」な人を思い浮かべてみた……TIMのあの姿が……大切なものを失いかけつつ次号へ。



■editors' voices-3■

友人が恵比寿に店を出しました。「GARLIC DINING」(TEL:03-3715-2299)といいます。素材の良さを活かすツボを心得たにんにく料理、おいしいワイン、センスよく居心地のいい空間、そしてフレンドリーで男前なスタッフがお店の売りです。畑違いですが“フレンドリーで男前なスタッフ”という部分でMクリと競合するのでは? と、暴走気味の自意識と被害妄想にまかせて思いついたのが“ムード歌謡とナイスなイケメン……ホストクラブ「ニューロマンスMクリ」”という対抗策です。みなさまの“ご指名”をお待ちしております……じゃなくて、恵比寿に来たらぜひお立ち寄り下さい。



■editor's voices-4■

「ジュッ」……加熱された食器を素手で触るとこんなが音します、きっと。先日、編集部の打ち上げの席で火傷をしました。“熱い”という素振りを見せないポーカーフェイスな食器にしてやられたのか、単なる自分の不注意なのか微妙なところですが、いずれにせよ心の準備がなかった分、指先から脳までの連絡に遅れが生じました。結果、見事な水膨れができました。一瞬、ある種の収穫の喜びを与えてはくれたものの、その後、家に帰る電車のなか、氷の入ったビニール袋に指を出し入れし“火傷の痛さ→氷の冷たさの痛さ”のループに身を任せながら、ついイメージしてしまったのは“アチャーっ”というブルースリーのものまねネタでした。うかつでした。



■editors' voices-5■

これまでいろんな人とインタビューをさせていただきました。で、じつは、ボクがMクリで最初にインタビューをしたのが、今回表紙のw-inds.をはじめhiroさんなどの楽曲を手がけている葉山拓亮さんでした。スタジオにお邪魔していろいろお話を聞いたのですが、印象に残っているのが、クリエイターとしての良心が求める音楽と日本のシーンが求める音楽とのある種の拮抗関係をとても柔軟かつ繊細かつ強靱に対応している人だなぁということでした。そして、その現場にはデビュー前のw-inds.の3人もいました。このw-inds.の1stアルバムをボクはそんな記憶の余韻とともに味わいながら聴いてます。で、調子にのって、次号でまた葉山さんにお話をうかがっちゃいます…つづく。


■editor's voices-6■

唐突ですが、僕は1月20日生まれです。星占いでは、山羊座か水瓶座どちらかのようです。というのも諸説がありハッキリしないからです。でも、ま、そんな事どっちでもいいかなと思っていましたが、分衆化が進み小文化圏がモザイク模様を呈する現代日本社会において“どっちなのヨ?”と、異文化交流上の要請もあり、本誌占いページでお馴染みの村上さなえさんにうかがいました。で、“山羊座です”との答え。“そうか山羊座だったのか……”。“とりあえず水瓶座で”ということで、30数年生活してきた末のこの新事実。“あなたの本当の星座さん、いらっしゃってます。山羊座さんどうぞ”と、『バラ珍』(?)のようなマイ星座との出会い……でも“あたし水瓶座と相性がいいのヨ”のひとことに、いつでもスイッチバックモード全開の2002年!



■editor's voices-7■

おハガキいつも楽しみに目を通してます。おかげさまで号を重ねる度にその枚数が増えており、たいへんうれしく思います。とくに、readers' columnsでのハガキ選び後は、分厚い書籍を読破したような充実感と余韻で、ちょっとトリップ(?)気味です。さて、最近、こんなメッセージがありました。「ミュージック・クリエイターという誌名なのに、なんで歌手がのっているかヘンだと思いました。でも、いくらイイ詞と曲があっても、それを歌う人がいなければ歌は成立しないし、そう言う意味で歌手の人も歌の世界のクリエイターなんだなって、思いました」……編集サイドの意図するところを、見事にズバッと射抜いたその感想に、ボクはやられちゃいました。みなさんの感性の深いところに響く部分をこの雑誌がもっている、それが届いている。それってスバラシイっ!


■editors' voices-8■

w-inds.×葉山拓亮さんのクロス・トーク、ご本人&関係各位のみなさまのご協力により実現しました。やっている側が言うのもなんですが、音楽シーンのフロントステージとバックステージをリンクさせた、Mクリならではの企画だったのではないかと、思ってます。ご両者のファンはもちろんですが、他のアーティストを目当てにMクリを買っていただいた人にも楽しんでもらえるとウレシイですし、逆にこの企画目当ての人が他のページにも興味・関心を持ってもらえるとイイなと思ってます。この雑誌にはいろんなアーティスト&クリエイターが登場しますが、“知っている・知らない”ということに関係なく読者のみなさんが自分との関係を見出せて、気持ちの内側奥深くに届くものを発見できるような、そんなコンテンツを提供できればイイなと思ってたりします。


■editor's voices-9■

音楽雑誌編集について、“アーティストや楽曲と、読者との接点を誌面を通じてどのように演出、実現させるか”という捉え方ができると思います。音楽は聴いてナンボなのですが、“音楽雑誌だけがとりもつアーティストや楽曲とユーザーとの仲”というのもあると思います。写真で表情やたたずまいを捉え、インタビュー・テキストで内面を描写することは、どこまで行っても音楽そのものではないのですが、“そのアーティスト&楽曲が響かせている感情のポイント”に、音楽とは違った方向・道筋で到達することは可能だと思ってます。その一連の編集過程には、関わっている人の感性や趣向や意向などが投影され、それがその雑誌独特の“響き”を形成しているといえると思うのですが、その“響き”が、読者のみなさん、関係者のみなさんに認めていただけると、いいなぁと思ってたりする日々を過ごしてます。


Back